【那須正幹】『ズッコケ中年三人組 age49』と『ズッコケ熟年三人組』についての解説と感想

ズッコケ中年三人組

本記事では那須正幹さんの「ズッコケ中年三人組」シリーズの十作目と最終作である

『ズッコケ中年三人組age49』

『ズッコケ熟年三人組』について紹介します。

ズッコケ中年三人組age49

著者:那須正幹

出版社:ポプラ社

ページ数:238ページ

 

ズッコケ中年三人組シリーズの十作目。

文庫本は発売されていない。

 

あらすじ

花山駅前の再開発の資金集めに苦戦するハチベエたちの前に

ロマノフ王朝の子孫を自称する男性が現れる。

一方モーちゃんの母親の時子は医者嫌いにも関わらず

自ら医者に診てもらうとのことで新庄則夫の病院を訪れるが、

膵臓がんの疑いが濃厚とのことで。

 

感想

まず今作ではモーちゃんの母親である時子が病気になって亡くなってしまう。

ズッコケ中年三人組シリーズになってからはハチベエの両親もハカセの両親も

ほとんど登場せず存在感が無い中で、

時子はモーちゃんと同居していることもあって全作に登場していただけあって

存在感抜群だっただけにかなりの喪失感がある。

次作の『ズッコケ熟年三人組』でシリーズが完結することを知っているので、

何も死なす必要ないだろうとも思ったけれど、

葬式のシーンを読むとそんなに悪い感情は持たなかった。

それでもシリーズ最後までいて欲しかったというのが本音ではあるけれど。

 

もうひとつはハチベエの長男の一平がで出来ちゃった結婚するが、

こちらはそもそも一平がそこまで物語に絡んできてなかったのもあって、

特に何も感じなかった。

ただハチベエの両親の勝平とヨネが久しぶりに登場したのだけは良かったかな。

 

さらに駅前の再開発に絡んでロマノフ王朝の末裔の話があるんだけれど、

これも特に興味が持てなかったかな。

前作の痴漢の冤罪同様に話そのものがそこまで練りこまれてないんじゃないかと思う。

物語の終盤でハカセが岡本に融資の件を聞くと、

あっさりと詐欺でしたと認めるという展開だから。

ただ翼が貰った首飾りが本物かも?という次作に続きそうな展開にはなっている。

 

最後に『ズッコケ心霊学入門』に登場した常川浩介がサワクロの社長として登場する。

ここは懐かしかったけれど、かなりあっさりした話になっている。

 

主な登場人物

ハチベエ

ハカセ

・モーちゃん

主任に昇格。

・奥田時子

モーちゃんの母親。膵臓がんになってしまう。

・本間タエ子

モーちゃんの姉。今作で本間という名字が判明する。

岡本啓

自称ロマノフ王朝の直系の子孫。

・常川浩介

『ズッコケ心霊学入門』に登場。アパレル企業「サワクロ」の社長。

 

小ネタ

登場する子ども時代の話は『ズッコケ心霊学入門』、

『緊急入院!ズッコケ病院大事件』、『ズッコケ財宝調査隊』である。

 

 

ズッコケ熟年三人組

著者:那須正幹

出版社:ポプラ社

ページ数:234ページ

 

ズッコケ中年三人組シリーズの第十一作目。

文庫本は発売されていない。

シリーズついに完結。

 

あらすじ

花山駅前の再開発に出資したサワクロの社長常川浩介が市役所を表敬訪問するために

花山町を訪れることになった。

浩介はハチベエハカセ、モーちゃんと会いたいとのことだが。

 

感想

話の流れとしては

前作からの続きでサワクロの常川浩介が花山町を訪れて

ハチベエたち三人と旧交を温める。

また浩介によって前作に登場した岡本啓は詐欺師ではなく

実際にロマノフ王朝の子孫であったと告げられる。

それから土砂災害が起きてハカセのクラスの子と

モーちゃんと一緒に働いていた遠山さんの奥さんが亡くなる。

そして最後はお約束のクラス会で締めて、

三人組が小学校六年生だった時の歌であるサザンオールスターズ

勝手にシンドバッド』をハカセが歌おうとして終わるというラスト。

 

モーちゃんが専務になったことと

ハチベエがもしかしたら八百屋を再びやるかもという話も描かれてはいる。

 

子ども版も含めたラストと見るのか、

中年シリーズだけのラストと見るのかは人によるだろうけれど、

どちらにしろこのラストは正直無いかなというのが正直なところ。

 

ロマノフ王朝の話も

前作の最後で翼が貰った首飾りが本物らしいという展開だったので、

もしかしたら怪盗Xでも絡んでるのかと思ったら、

やっぱり岡本はロマノフ王朝の子孫であったという展開。

なんで岡本が自ら詐欺だと言ったのかは一応の説明はされているけれど、

全く納得できなかった。

とはいえロマノフ王朝の話自体に興味が無いので特にガッカリも怒りもしないのだが。

 

中盤の土砂災害の話にしたって結局亡くなるのは今作で登場した人たちにすぎないし、

三人組が直接被災するわけでもないからそこまで感情移入できなかった。

 

最後のクラス会もやたらあっさりしてる。

ただこのラストでハチベエたちは完熟ではなく半熟であると結論づけるけれど、

割合前向きなのは救いか。

あとはハチベエというより圭子やハチベエの父親が八百屋再開に前向きなのはいいし、

モーちゃんが専務になったり、もしかしたら社長に?という話もある。

正直こういう展開ならもう少し前から書いても

良かったんじゃないかと思わないでもないけれど、

最後に活き活きとしてたモーちゃんを見ることができたので良しとしよう。

 

那須さんが既にお亡くなりになっていることを考えると、

もうこの先のハチベエハカセ、モーちゃんを読むことはできないのが寂しすぎる。

中年シリーズに関しては正直不満点の方が多かったけれど、

それでもある程度は楽しめたかな。

 

主な登場人物

ハチベエ

花山駅前の再開発のために黒松町の両親の家に居候中。孫の一美が生まれている。

ハカセ

阿賀第二中学校に転勤している。

・モーちゃん

母親の時子も亡くなり、猫も家出したので満子と二人暮らし。

・常川浩介

『ズッコケ心霊学入門』に登場。アパレル企業「サワクロ」の社長。

 

小ネタ

登場する子ども時代の話は『ズッコケ心霊学入門』である。